2011年6月12日日曜日

順応

昨日一日、食事を抜いたら、意外と快適。例えば、週末は朝食の一日一食だけ、という線もありうるかな……。

家事の合間に、"Adapt" (T. Harford 著 / Little, Brown) を読む。沢山の興味深いエピソードで解説されていて、けっこう面白い。
理想的な組織と問題解決は、
  1. 情報が集中するトップと上層部が「大きな絵」を描き、意思決定をする
  2. その方向に組織全体が一体となって力をあわせて動く
  3. 組織階層の上下に情報と指示が緊密に流れる
という三つの要素で構成されるように思われている。しかし、それは少なくとも現代の大きな組織では全く有効ではないし、実際、ほとんど機能していない、という指摘から、この本は始まる。1番は自己欺瞞的なプロパガンダになり、2番は集団思考に陥り、3番は各層が意思疎通をブロックするゴミ箱になる、というのである。全く耳が痛い。誰もがこれらの障害を目撃しながらも、何故か執拗に、上のような組織を「理想」だと思っているのではないだろうか。「選択と集中」とか、「トップがヴィジョンを示して……」 とか、「全社一丸」とか言いながら。

このような「理想」の問題解決の代案として著者が提案しているのは、間違っていても立ち直れるような小さなスケールで、できるだけ多くの新しいことを試し、できるだけ多くの間違いを犯し、その過程で状況に適合し順応していく、という方針である。これもまた、良く聞く「理想」の一つだと私は思うが、どちらかと言うと、こちらの方針を意識的に胸においておく方がバランスが取れそうではある。このあと、"Adapt" という概念をめぐって、豊富なエピソードとともに、あちらこちらへと連れ廻されて、色々と考えさせられる本。