2011年6月1日水曜日

探偵とテレビ

私の観測によりますと、どうやら梅雨ですね。

噂に聞いのだけれど、あと二ヶ月くらいでテレビ放送が終了するのですってね。 テレビはいずれなくなるだろうとは思っていたが、 私の予想よりは早かったなあ。

蘭の栽培が趣味でグルマンの探偵ネロ・ウルフは、 一日に一回、一分間だけテレビを観る。 一分間、あちこちチャンネルを替えて、満足してスイッチを切るのである。 作曲家の武満徹は、テレビは深夜3時くらいが一番面白いと言った。 その時間帯は砂嵐(ホワイトノイズ)しか映らなかった時代の話である。 伊丹十三の友人はテレビを憎むあまり、 わざわざ高価なテレビセットを購入して、 メモ用の黒板としてだけ使っていた。 デルマトグラフというガラスにも書ける色鉛筆で、 ブラウン管(今なら液晶パネル)に「豚バラ肉を買ってくること」 などとメモするのだ。 こういった素晴しくどうでもいいけれど面白い話は、 私が丹念に蒐集したわけではなくて、伊丹十三のエッセイで読んだのである。