2008年11月23日日曜日

Tao 3-4

今日の "The Tao of Programming"(G.James/InfoBooks)。原による試訳。

マネジャがマスタ・プログラマのところに来て、 新しいアプリケーションの仕様書を見せた。 マネジャは師にこう尋ねた。 「それに五人のプログラマをアサインすれば、 設計にどれくらいの時間がかかる?」

「一年かかりますね」と、 師は直ちに答えた。

「でもこのシステムが今すぐに、必要なんだよ! 十人のプログラマをあてたらどうだろう?」

師は顔をしかめて言った。 「その場合には、二年かかります」。

「じゃあ、百人のプログラマを使ったら?」

師は肩をすくめて言った。 「なら、その設計は決して終わらないでしょう」。

「プログラミングのタオ」 第3の書「デザイン」、3-4章

2008年11月16日日曜日

Tao 4-3

今日の "The Tao of Programming"(G.James/InfoBooks)。原による試訳。

師が新米の一人にタオの性質を説明していた。 「タオは全てのソフトウェアの中に埋め込まれている。 それがどんなにつまらないものでもだ」と師は言った。

「電卓の中にもタオはありますか?」 と新米は尋ねた。

「ある」と答が返ってきた。

「テレビゲームの中にもタオがありますか?」 と新米は続けた。

「テレビゲームの中にさえある」 と師は答えた。

「ではパソコンの DOS の中にもタオがありますか?」

師は咳をすると、わずかに姿勢をずらせて言った。 「今日の授業はここまでにしよう」。

「プログラミングのタオ」 第4の書「コーディング」、4-3章

2008年11月9日日曜日

status quo

R 大学紀要に書こうと思っていた論文の内容が既に発表されていることを発見。 もうかなり書いてあったのだが、やむなく中止。 本題の方を考えたいが、まとまった時間が取れなかった。 12 月のオーストラリアでの講演の準備と、 1 月末締切の MSJ-SI のプロシーディング執筆があるので、 新しく前へ進めるかどうかは怪しくなってきた。 回顧的に整理しながら、方向性を探る、というのがよいかも知れない。

卒研ゼミは、それぞれ内容が難しくなってきて、なかなか楽しい。 院生ゼミはラフパス理論のまとめは出来そうだが、 何か新しいことが例としてでもつけ加えられるか、 まだ分からない。 講義は 6 回を終えて、大体感じがつかめてきた。 会議は相変わらず、じゃんじゃんやっている。 今期は学科の人事が沢山あるのでしようがない。

プロジェクトKは全く音沙汰なし。 出版業界は仕事前には契約をしない、と言う謎の世界で、 どうにも分からない。

プロジェクトRは次のステップに入った。 来年からは「小〇川のご隠居」 あるいは「伝〇院裏のセンセー」とでも呼ばれたりしてみたい。

Tao 7-3

今日の "The Tao of Programming"(G.James/InfoBooks)。原による試訳。

象牙の塔の魔法使いが、 試験のため最新の発明をマスタ・プログラマのところに持ってきた。 魔法使いがマスタのオフィスに大きな黒い箱を運び込むのを、 マスタは静かに待った。

「これは集積的、分散的、多目的ワークステーションだ」 と魔法使いは説明を始めた。 「 プロプライエタリOSと、第六世代言語と、 多重芸術的ユーザ・インタフェースを装備し、 人間工学的に設計されている。 これを助手に構築させるのに数百人年かかったよ。 すごいだろう?」

マスタは眉をわずかに持ち上げ、 「たしかにすごい」と言った。

魔法使いはさらに続けた。 「会社の上層部が、みんながこのワークステーションを新しいプログラムの開発プラット フォームに使うよう指示したところなんだ。 賛成してくれるかい?」

「もちろん。これをすぐにデータセンタに運ぶことにしよう!」 とマスタは答えた。そして、魔法使いは上機嫌で、彼の塔に帰った。

数日後、新米がマスタ・プログラマのオフィスにやってきて言った。 「私の新しいプログラムのリストが見つからないんですけど、 どこにあるか心当たりがありませんか?」

マスタは答えた。 「ああ。そのリストならデータセンタのプラットフォームに積み上げられてる」。

「プログラミングのタオ」 第7の書「企業の知恵」、7-3章

2008年11月1日土曜日

Tao 2-3

今日の "The Tao of Programming"(G.James/InfoBooks)。原による試訳。

とても大きなコンピュータ会社のプログラマがソフトウェアのカンファレンスに行き、 帰ってきてマネージャのところに報告にきてこう言った。 「他のコンピュータ会社で働いている、あの類のプログラマたちは何です? 行儀が悪くて、身なりに気を使わないあいつらです。 髪は長く伸ばしっぱなしだし、着ている服と言ったらよれよれの古着。 やつらは我々の接待用の特別室を滅茶滅茶にしたし、 私の発表の間ずっと騒がしくて邪魔でした」。

マネージャはこう答えた。 「君をあのカンファレンスに行かせるべきじゃなかったな。 あのプログラマたちは物理的世界を越えたところに住んでいるのだよ。 彼等は人生を馬鹿馬鹿しい偶然の結果だと考えていて、 限度を知らずやって来ちゃ去って行くのさ。 何を気にすることもなく、プログラムのためだけに生きている。 彼等が社交の決まりごとなんかにわずらわされるもんか。

彼等はタオとともに生きているんだから。」

「プログラミングのタオ」 第2の書「古の師たち」、2-3章