2011年12月9日金曜日

クセノクラテス

ああ、良く寝た。 熱も下がっていたが、この週末で完治させるべく、 今日はおっとりと過すことにする。 いつもの朝食のあと、出勤。 今日はお弁当を作らなかったので、 昼食は近所の蕎麦屋でけんちん蕎麦。 午後は最近、何故か興味を持っている "processing" の勉強など。 毎週定例の全社ミーティングを終えて、退社。 夕方から、私的な勉強会に参加。 そのあと夕食までご馳走になってしまった。申し訳なし。

昨夜、寝床で「ギリシア哲学者列伝(上)」(ディオゲネス・ラエルティオス著/加来彰俊訳/岩波文庫) の開いたところには、クセノクラテスの話が出ていた。 クセノクラテスはプラトンの弟子の一人。 生まれつき鈍かったので、プラトンはアリストテレスと彼を馬と驢馬に喩えたそうだ。 しかし、どうやらただものではなかったらしい。 彼の弟子たちが師匠をからかうために、 芸妓に頼んで添い寝をさせたのだが、 彼は 「局部のまわりを何度も切られたり焼かれたりするような苦痛を我慢」 して、何事もなかった。 痩せ我慢である。 また、彼は非常に信用されていたので、 アテネで唯一、宣誓せずに証言することが許されていた。 また、アレクサンドロス大王が彼に多額の金を贈ったとき、 ごく少額だけをとって残りを返し、 「数多くの人民を養っているアレクサンドロスには自分よりももっと多くが必要だろうから」 と言った。 また、一羽の小雀が鷹に追われて彼の懐に飛び込んできたとき、 保護を求めて来たものを引き渡せない、と言って逃してやった (この逸話はギリシア発だったらしい)。 また、彼は居留民税が払えなくて、奴隷に身を落としたが、 デメトリオスが彼を買い取って自由にした。 そんな彼だったが、アカデメイアの後継者となり、二十五年に渡って指導した。 そして彼は、夜中に鍋につまづいたのがもとで死んだ。

「ギリシア哲学者列伝」にはこんな話ばかり文庫三冊分集められている。 暇つぶしに最適である。そして、なんとなく人生とか、大きな問題を、考えさせられる。 それに、各章のあと著者自作の詩が捧げられているのだが、 大抵、失笑ものの酷いできで、ほのぼのする。 ちなみに、クセノクラテスに捧げられた詩は、 「あるとき青銅の鍋につまづいて、額を打ち/ 金切り声をあげて、そして死んで行ったのだ / 男のなかの男であったクセノクラテスは。」 ……失笑。