昨夜、「知恵の七柱」で夜更ししてしまったので、寝坊。
紅茶、ヨーグルト、果物などの軽い朝食。
今朝もわりと暖かい。もう十二月なのだがなあ。
洗濯をしてから、朝風呂に入る。
昼食は肉豆腐、白菜の漬物、生卵とちりめん山椒で伊丹流ねこまんま。
ちょっと寝台に横になったら、また二時間くらい昼寝してしまった。
午後は私的なプロジェクトの考え事の他、
掃除機がけなどの家事のあと、近所のスーパーへ買い物に。
スーパーは、
クリスマスケーキやおせちの受注が始まっていたり、既に年末のムード。
新巻鮭なんてのも売っている。
関西人にはピンと来ないが、東日本では新巻鮭は年末の風物。
贈答品らしいのだが、
あんなの一本もらったらどう食べればいいのだろう……と、
もらったこともないのに毎年悩んでいる。
確か、ある食通の書いたエッセイで、
年末に東京に流通するような新巻鮭は本当の新巻ではないのだ、
本物は北海道ですらほとんど手に入らないのだ、
そしてそれは夢のような絶品で風味絶佳なのだ、というようなことを読んだ記憶があるのだが、
それが誰のエッセイだったか思い出せない。
開高健の「最後の晩餐」か、
青木正児の「酒の肴」なんじゃないかな、と思ったが、
帰宅して家の書庫で調べたら違うようだ。
開高健はやはり鮭についての思い出を語っていたが新巻鮭の話ではなく、
青木正児に唯一、鮭の話が出てくるのは、
「鮭」とは河豚の古名でこれを「サケ」と読むのは俗の誤である、
という箇所。
面白い話だが、これじゃない。
一体、どこで読んだのだったかなあ……
帰宅して、
一番だし二番だしを引いたり、昆布を煮たり、ふりかけを作ったり、
白モツを茹でて洗って茹でて洗ったり。
夕食は生姜焼き、昆布の佃煮、白菜の漬物、豆腐と大根と隠元の味噌汁、御飯。
食後に林檎を一つ。
夜は、あたりさわりのない毒にも薬にもならないミステリ、
「マクベス夫人症の男」(R.スタウト著/山本博訳/ハヤカワ・ミステリ文庫)
を読む。
書庫の探索を続けて、新巻鮭問題が解決。
「味覚極楽」(子母澤寛著/中公文庫)だった。
子母澤寛は北海道生まれだということを失念していた。
ちなみに、東京駅長の吉田さんの話の聞書の章である。
新巻鮭とは、まだ生きているような一本選りの鮭に、
普通の塩鮭よりは控えめの塩をして、
新しい塩俵(藁のことか?)に包んで一週間ほど寝かせたものだが、
この俵が二度目ではもうそれは、新巻であって新巻ではない。
北海道でも札幌のような都会では入手が難しいそうで、
本当の新巻鮭は何と言っても石狩、石狩川の川口にある石狩町にしかない。
西紋別や鬼鹿でも相当のものはできるが、やはりいけない、のだそうだ。
しかも石狩物はごく僅かしか獲れないため、
縁故をたどって直接石狩に頼まないと手に入らないのだとか。
子母澤によれば「はらす」(あばら身)を焦げないよう、
とろ火で根気良く焼いたものが、絶品。その皮がまた「すばらしくうまい」。
また、具体的には分からないが「寒塩(かんしょう)びき」なるものがあって、
酒の肴に結構らしい。
また、新巻鮭で濃い茶漬を作って食べるのが、日常第一の珍味、
とのことである。