2011年3月5日土曜日

統計学と探偵

7 時頃起床。 昨夜に食べ過ぎたので、珈琲とパン・オ・ショコラとヨーグルトだけの朝食。 お風呂に入って、湯船で 「なぜ経済予測は間違えるのか」(D.オレル著/松浦俊輔訳/河出書房新社) を読む。午前中も読書など。早めの昼食は月見蕎麦。 食後に少し昼寝。のつもりがやはり、二時間も寝てしまった。 今週は低調な一週間だったなあ……、 と思いつつ、反省会。ちょっと人生計画を考え直そう。

夕方またお風呂に入って、 "Problem Solving -- A statistician's guide" (C.Chatfield 著 / CRC) を読む。なかなか面白そう。普通の統計学の教科書とは違って、 そもそも現実世界の問題に統計学を使うには何をどうするのか、 という問題を易しく説明している。 例えば、イントロにはこんな例がある。 統計家の所にお医者さんから連絡があって、 4 種類の手術用麻酔薬の効果を比較したい、と言う。 80 人の患者の手術結果の 31 の変数がまとめられているらしき、 謎の項目に数と記号が並んだ 80 列 31 行の表を前にお医者様の曰く、 「どうしましょう?」。 ここからどうするべきか……というような感じ。

私の少ない経験によれば、応用統計におけるそもそもの大問題は、 ほとんど全ての場合でデータをとったのが自分ではないことだ。 統計学の教科書の例では、理想的状況が暗黙に仮定されている。 または、メタデータ(データについての情報)が完全に与えられている。 しかし現実には、そのような段階に到るまでが仕事のほとんどだ。 むしろ理論的解析の部分は、最も易しいパートに過ぎない。 思うに、統計学に限らず科学の応用は一種の探偵業のようなもので、 しかも安楽椅子探偵ではありえない。 様々な人に会って情報を集め、人を動かし操って、 ようやく、パイプに煙草を詰めてポットに珈琲を用意する。 そして、その思考すらも実際に行動したあとでしか出来ない種類の推論なのだろう。 さらにそのあと、それをどう伝え、どうフィードバックし、事件にどう幕を引くかも、 大変に難しい問題だ。

夕食はまた鍋。去り行く冬を惜しんで、鍋三昧のこの頃。 今日はシンプルに鶏の水炊き、徳島酢橘ポン酢と柚子胡椒にて。 酒を冷やで五勺ほど。鍋のあとは饂飩。