2011年7月20日水曜日

佳人

昨夜はネットワーク屋の N さんと白金台の四川料理屋で月例の会食。 スーツケース一杯の札束を突き返した顛末などを聞き、 氏や育ちって何なのでしょうねえ、と話しながらしみじみと、 山椒の効いた大正海老の炒めものなどを食す。 一人自営業の N さんは再来月以降、収入のあてがないかも知れないと言うし、 こちらも勤めている会社がどん底からの復活を目指してもがいているところだし、 窓の外の暗闇の中で風に揺れている緑の楓を打ち眺めつつ、 紹興酒を飲んでいると、ますます枯れた風情が漂う。 紹興酒は一種類しかないのだが、流石に上等だった。 やはり、没落というものには格別の味わいがあるようだ。 昔話にだけ聞く栄華を思い浮かべて、嗚呼、 でも大得意で笑ってだけ過していたわけでもあるまいよ、 と、夜の楓など眺めて搾菜を肴に紹興酒を傾けるのが趣きというものだ。

台風と言っても風も吹かず、雨もそれほど降らず、 ただ蒸し暑いだけみたい。朝と夕方だけの印象ですが。 機材の棚卸し書類を書いて提出したあとは、 軽くスクリプト書き。 帰宅してお風呂に入り、湯船で石川淳の短編「佳人」を読む (講談社文芸文庫の「普賢/佳人」に所収)。 夕食は、冷蔵庫の残りものをあれこれのあと、 スパムを使ったカルボナーラなど。