母から、これでたまには美味しいものでも食べなさい、 と手紙を添えた金一封が届いた。 都会の案山子は清く貧しく寂しく過しています……ありがたや。 そして、父からはまたしても、短歌が添えられていた。 「天なるや月日のごとく我が思へる 君が日に異に老ゆらく惜しも」。 今回は万葉集だ。 天にある月や日のように私が思うあなたも、 日々過ぎて年老いていくのは残念なことだよ(拙訳)。 父上……これは嫌味ですか、エスプリですか。
あめなるやつきひのごとくあがおもへる
きみがひにけにおゆらくをしも きみがひにけにおゆらくをしも