2011年9月5日月曜日

サバかタチウオ

曇り空の一日。 夕方、退社。近所のカフェで一服してから帰る。 夕食のメインは塩鯖。 他に作りおきの二品と、しめじとお麩の味噌汁、御飯。

私が子供の頃、魚と言ったら鯖か太刀魚で、 あまりに食卓に上るのでうんざりしていたくらいだが、 今になってみると懐しい味。 鯖は塩鯖を焼くか、梅干しと一緒に濃口に煮付ける。 太刀魚は塩焼か、薄く煮付けるかのどちらかだった。 これがヘヴィ・ローテーション。 貧しかったんだねえ…… 鯛なんて正月だけだった。 大晦日に何とも筆舌に尽し難い香ばしい匂いが漂ってきて、 裏庭で一斗缶に炭を入れて大きな鯛を焼いているのを見つけると、 「おお、たいだぞ、たい。たいだ、たいだ」と高揚したものだ。 喩えて言えば、 長年の撤退戦の果てに海に辿り着いて 「タラッタ、タラッタ(海だ、海だ)」と一同抱き合って泣いた、 という「アナバシス」のギリシア兵なみの高揚感だった。

それが今や、鯛はやっぱり桜蒸しだよね、純米酒には一番あうよね、 賀茂鶴純米ありますか、なければここは敢てシャブリでも悪くない、 キリメンジャンじゃないよキンメリジャン、 なんて通ぶったことを言ってるわけだ。 大人になるまで刺身も食べたことがなかったのに。 これをスノッブと言わずして、何と言う。 ほんと、恥ずかしい。強く反省したい。 魚は鯖か、太刀魚だよ。