台風の影響なのか、蒸し暑い。秋はいったいどこへ。 夕方退社して、近所のカフェで一服。 短編集 「パノラマニア十蘭」(久生十蘭著/河出文庫) より、「『女傑』号」、「巴里の雨」などを読む。 夜は下北沢の魚屋にて、K 大の S 君と会食。 しばらく帝都に滞在の予定らしい。
十蘭再評価の気運なのか、 最近、文庫で色々な短編集が出るのはジュウラニアンとして嬉しい。 十蘭は文庫にあうような気がする。 もちろん、だからと言って、これを切っ掛けに十蘭の読者が拡がるだろう、 などとは思わない。 十蘭が広い読者層を獲得するなんて天地が返ってもありえず、 十蘭の読者は今も昔も常に極小マイノリティであり、 そのことを「選ばれしもの」として自負しているのである。 ちなみに文庫版十蘭の中で私の一番のお気に入りは、 (ずいぶん古い本だけれども) 「昆虫図」(久生十蘭著/現代教養文庫)。 「昆虫図」、「水草」、「骨仏」 といった数ページの超短篇が収められているのがいい。