2010年5月29日土曜日

「文士厨房に入る」

8 時起床。早起きの習慣がついてきたようで、土曜日でも 8 時起き。 今日は曇り空。雨も降りそうだ。気温も低い。 珈琲、トーストの朝食のあと、午前中は主に翻訳の推敲作業。 お風呂に入って湯船で、 「文士厨房に入る」(ジュリアン・バーンズ著/堤けいこ訳/みすず書房) を読む。 バーンズが毎回あれこれとレシピと格闘して料理するエッセイ集。 あちこちに「いや、そうじゃなくってだね……」とツッコミを入れたくなるが、 そこが面白い本だ。

以前よりは随分ましになったとは言え、 イギリス人の料理感覚って相変わらずだなあ、と思う。 バーンズのようなインテリで料理が趣味で料理の本を書くような人ですら、 ポークチョップを焼くのに苦労したあげく、 「どっちみち豚肉というのは、高圧搾ボール紙みたいな味である」 という結論に逹したりする。 正気とは思えないが、これを読んでイギリス人は「くすっ」と笑うのだろう。 実際、高圧搾ボール紙みたいな味はイギリスではお馴染で、 私も高圧搾ボール紙みたいな味のサンドウィッチを食べて愕然とした経験がある。 豚肉を焼くだけでどうして不味くできるのか、どうしたら段ボール紙味のサンドウィッチが作れるのか、 一億総食通である我々日本人には想像もつかないが、そこがイギリスの神秘だ。 料理に関して言えば、イギリス人には何か根本的な欠陥があるとしか思えない。

昼食は茄子と大蒜の芽の肉味噌炒め、長葱の塩炒麺、もやしのラー油あえ。 食後に一時間ばかり昼寝。 そのあと本日のメインイベントとして、ボロネーゼソース、つまり言わゆるミートソースを作る。 野菜を炒めるのに小一時間、挽肉を入れてから煮込みに三時間かかるので、 およそ一日がかりのプロジェクトである。 ストーブ番と言うやつで鍋の前に椅子を持ってきて座り、 「兄の殺人者」(D.M.ディヴァイン著/野中千恵子訳/創元推理文庫) を読みながら、気長に煮込み作業。

ボロネーゼソースの煮込みと並行して、夕食の支度。 夕食は挽肉と春雨の炒め物、冷奴(生姜と花鰹)、油揚げと長葱の味噌汁。 まとめ買いしてしまった挽肉をようやく使い切った (食べ切るには、数日かかりそう)。