2010年5月16日日曜日

「男の料理」考

8 時起床。今日も良い天気。珈琲、トースト、昨日作った苺ジャム。 自家製のジャムってなかなかいいものだな。 午前中はまた洗濯をして、翻訳の推敲作業。 全体の三分の二くらいが終わったので、編集者にメイルで送っておく。 昼食は、ちりめん山椒と卵の炒飯、茄子と大蒜のオリーヴ油炒め、 冷奴にさらし玉葱と茗荷と花鰹にポン酢。白ワインを一杯だけ。 食後にちょっと横になったら、また二時間以上も昼寝してしまった。 午後もお風呂に入って湯船で 「グーグル秘録」(K.オーレッタ著/土方奈美訳/文藝春秋) を読んだり、翻訳の推敲作業をしたり。 夕方になって、夕食の支度。 御飯を炊いて、昨日作っておいた鰤のあら煮、 七味蒟蒻、高野豆腐、ベビーポテトと新玉葱のお味噌汁。

男の料理は一品料理になりがちのようだ。 大体、男の得意料理とみなされているものは、 どんなに凝っているようでも、実は一品だけのことが多い。 例えば、カレー作りに凝ってスパイスの調合から始めていても、 パスタ名人でアルデンテとオリーヴオイルにこだわっていても、 蕎麦を自分で打っていても、 市場で鮟鱇一尾まるごとを仕入れてくる鍋奉行であっても、 これらは実は全部、「一品料理に過ぎない」、という共通点がある。 実際、作ってみると分かるが、 例えば、夕餉の食卓に同時に三品用意するのだって相当難しい。 それを毎日続けるのは、もっと難しい。 うちの奥方は毎晩、五品くらい出してくれるよ、 という人は奥様に深く感謝した方がいいだろう。

私もこのような弱点を持っているので、何か手本が必要だな、と思っていた。 そんなところに最近、 「運命論者ジャックとその主人」(ディドロ著/王寺賢太・田口卓臣訳/白水社)を読んだときに、 その表紙のイラストがよしながふみ画だったことから、 「きのう何食べた?」(よしながふみ著/講談社)というマンガを読んだ。 主人公の弁護士が料理に異様な情熱を傾けていて、 毎回ほとんど、この主人公が料理をするだけのストーリィだ。 それもいかにも主婦/主夫的な料理をする。 にんべんの「つゆの素」を激安スーパーの底値で買い、 同じようにスーパーを周って最安値で仕入れた食材で、 毎回四品も五品も作る。レシピも詳しい。 これをお手本にするといいんじゃないかな、と思いついた。 唯一ちょっと引っかかるのは、 主人公が「めんつゆ」や「白だし」などを常に使うところ。 だしを自分でひかないような料理は私のプライドが許さない、 と言いたいところだが、 それこそが私の、そして「男の料理」の弱点なのだろう。 実際、限られた時間で手早く沢山の品を作るには、 こういう手の抜き方が必然なのかも知れない。 そのあたりも含めて、しばらく研究してみたい。