2010年3月28日日曜日

「古文の読解」と「古文研究法」

10 時近くまで熟睡。寝台で珈琲だけの朝食。 今日も気温が低く、天気ももう一つ。 午前中は翻訳仕事など。 ギャンブル以外で確率論が初めて現実に応用されたのって、 法律だったんだなあ。 天才一族ベルヌーイ家の一人、ニコラウス・ベルヌーイが 「法律における予想の技法の使用」("De usu artis conjectandi in jure" (1709)) で議論したのが最初らしい。 昼食は春キャベツとアンチョビのスパゲティーニ、ロゼワインを一杯だけ。 昼風呂に入ってから、午後はまた翻訳をしたり。 夕食の支度前にまたお風呂に入って、湯船で 「古文の読解」(小西甚一著/ちくま学芸文庫) を読む。 最近、文庫で復刊されているのを見て、 なつかしいなあと思って買ったのだが、 読んでみるとずいぶん易しくてすらすら読める。 私がよほど賢くなったのかなあと思ったら、 高校で参考書だったのは同じ著者の「古文研究法」の方だった。

私は理系だったので、 古典は授業時間も少ないし内容もそこそこだったのだが、 それでも古文の参考書は小西甚一「古文研究法」、 授業は「枕草子」や「源氏物語」の原典講読だった。 代々紀州藩の漢学者だという(very)オールドミスの先生が、 手抜きのない立派な授業をされていたものだ。 ところで「古文の読解」は、 小西先生が「古文研究法」を書かれたあとスタンフォード大学に客員教授として渡り、 アメリカで思うところあって帰国後に書かれたらしい。 その初版のまえがきには、 日本人が人なみの生活をするには工業で生きていくしかない、 これから若い優秀な人はどしどし理系に進むべきで、 もし理系に向くすぐれた人材が出なくなったときが日本の衰亡のときだ、 と言うようなことが書かれていたそうだ。 つまり理系の勉強に集中しなければならないはずの若者に、 どのように古文の素養を教えるか、という視点で書かれた参考書だったと言える。 そう思うと、私たちが理系なのに「古文研究法」 と原典素読なんてやっていたのは、ちょっとやり過ぎで、 この「古文の読解」くらいが頃合いなのかも知れない。

夕食は御飯を炊いて、鰤の塩焼き、納豆、蜆と葱の味噌汁。 ついでに高野豆腐、卵焼き、鰤の照り焼きなど、お弁当のおかずを仕込む。 食後に煎茶。