2010年3月19日金曜日

この人を見よ

7 時半に起床。早起きは続行中。 カフェオレとトーストのいつもの朝食のあと、 卵と浅葱の炒飯を作り、作りおきのおかずを適当にお弁当に詰めて出勤。 午前、午後とお仕事。 昼食は、持参のお弁当。 17 時頃退社して、 近所のスープカレー屋さんで黒いスープカレーの夕食のあと、 東京ミッドタウンの "21_21 Design Sight" へ。 昨日までは渋谷の Bunkamura にタマラ・ド・レンピッカ展を観にいこうと思っていたのだが、 "21_21" で開催中の 「クリストとジャンヌ=クロード展」 が 4 月上旬あたりで会期終了だったことを思い出し、 先にこちらに行くことにした。

結果から言って大正解だった。すごいね、クリスト。 電話機とか美術館とかポン・ヌフとか何でも包む人、 くらいにしか思っていなかったが、 まさに天才とはこういう人のことだろうと思い直した。 同時に上映されている、ドキュメンタリフィルムも必見。 パリのポン・ヌフを布で包んだら綺麗だろうなあ、 と思うことは簡単だが、 実際それを実現するには一体どれほどの、 障害を乗り越えなければならないことか。 様々な議会とか委員会とか沢山の組織や人を説得し、 優秀な技術者たちを雇い、大勢の労働者を雇わなければならない。 クリストとジャンヌ=クロードはこれをたった二人で、 一つのプロジェクトに十年、二十年、時には三十年かけて実行し、 その上、必要な(おそらく数億、数十億円の)資金は、 その過程で生まれる絵などを売って自分で集め、 どこからの援助も一切受けないのだそうだ。 しかも、「展示」はほんの数日や、数週間のことでしかない。 そこまでの年月とその過程の全てが一つの「作品」なのだ。 もちろん大半どころか、ほとんどの場合は頓挫しているのだが、 それでもこれだけ多くのプロジェクトを成功させているのは、 すさまじく凄い。 鋼のように強靭で布のようにしなやかな、 意志とヴィジョンと有能さがなければ、 到底成し遂げられないだろう。 おそらく彼は、何ごとかを成し遂げる、ということの意味や、 本当の自由というものを、知っているだろう。 こういうことをするために人間は生きているんじゃないだろうか。 そして、こういう人を天才と呼ぶんじゃないだろうか。

近くまで来たので、青山の骨董通りのバーにて一服してから帰る。 喉が乾いたのでジントニックを一杯と、 コート・デュ・ローヌのマールを一杯。