9 時半起床。珈琲、オレンジジュース、トーストの朝食。 今日も曇り空。今日も変な蒸し暑さだが、家の中にいる分には関係ない。 午前中は読書をしたり、のんびり。 昼食は、アーリオオーリオと、ポテトサラダの残り。 お風呂に入ってから、少し昼寝……のつもりが、3 時間近く寝てしまって、自分でも驚いた。 夕飯の支度まで、DVD で「フェリスはある朝突然に」(J.ヒューズ監督・脚本・制作、1986年)を観る。 この映画に出てくる、この建物が売り出された、 というニュースに刺激されて。こんな素晴しい物件が、たった 2 億 3 千万円。 日本に住んでいるのが馬鹿らしくなるくらい、滅茶苦茶に安い。 もし日本にあったら、十倍はするんじゃないだろうか。 夕食は、玉子、高野豆腐、じゃこなどの貧乏散らし鮨。白ワインを一杯だけ。 食後にチーズとパンを少し。
「フェリスはある朝突然に」は既にクラシック化しているコメディ (日本では全く評価されなかったようだが)。 簡単に言うと、主人公の高校生フェリスが学校をサボって、 陰気な友達と可愛いガールフレンドを連れ出し、一日遊びまわる、それだけの映画である。 主人公は、要領がよく、ツイていて、好きなことを好きなようにして、 みんなに愛される。 この一日のあと、何を反省するでも、何が変わるでもない。 最後にしっぺ返しを食うだとか、それで周囲の人々の愛への感謝に目覚めるだとか、 それでも陽気さは失なわない、とか、そういったことは全くない。 主人公はトリックスターですらない。単に、天才なのだ。 一方、親友もガールフレンドも妹も校長も、 自分はフェリス・ビューラーでないこと、つまり、ただの凡人であることと、 その哀しみに気付いている。 そしてある者は悟り、ある者は諦められない。
この映画にベン・スタインが超退屈な授業をする先生役で出演している。
もと弁護士で、大学で教えていたこともあり、
ニクソン大統領とフォード大統領のスピーチライタでもあり、
そのあと俳優や声優としての方が有名になってしまった、多彩な人である。
この人がインタヴュに答えて、この映画の「教訓」をこうまとめている。
1.幸運の星は存在する。
2.自分に素直になれば何でもうまくいく力が生まれる。
3.世の中には勝者と敗者がいる。
4.素直に生きる者は周囲を幸せにする。
さすが大統領のスピーチライタらしく、うまい要約だ。
これらは全て正しいが、もちろん、自分に素直に生きられる人はそうそういない。
思うにこの映画は、不公平についての物語なのだ。
とにかく、ベン・スタインもフェリスのように幸運だったのかも知れない。
この映画にほんの端役で出演以来、世界のどこに行っても(おそらく日本は除く)、
「ビューラー……ビューラー……」「誰か(anyone)……誰か(anyone)……」
という台詞で声をかけられることになった。
そして、ベン・スタインはインタヴュの最後をこうまとめている。
自分はイェール大法学部を主席で卒業し、大統領のスピーチを書き、
山ほど本や論文を書いて、山ほど賞状をもらったが、
人生で最高の一日は「フェリス」出演であり、それと比べれば他は全く何でもなかった。
そして自分は幸運だった。