2009年5月3日日曜日

メグレ警部のパリ / 再度オムライス

8 時起床。胡瓜のサンドウィッチと珈琲の朝食。 寝床で読書をしたり、朝風呂に入ったり。 湯船ではまたクラウド関連本を読んだ。 今のところ、技術的でないものの中で一番面白かったのは、 「クラウド化する世界」(N.G.カー著/村上彩訳/翔泳社)だ。 クラウドより、インタネットそのものに関する批評と言う感じで、そこが鋭い。 スパゲティ・アラビアータ。スパークリングを一杯だけ。

午後は昼寝をしたり、寝台で読書をしたり。 「メグレと無愛想な刑事」(G.シムノン著/新庄嘉章訳/ハヤカワ・ミステリ 370)。 世界で最も有名な架空の刑事、と言えば、当然「メグレ警部」はベスト3には入りそうだ。 ところが書店に行ってみても、メグレものは置いていない。 実際、ほとんど品切ればかりで手に入らない。日本では名前だけが有名で、 読んだことのある人があまりいないのではないか。 私は「フレンチミステリは日本で根拠なく不遇説」を唱えるものだが、 その実例の一つだと思う。 この本はメグレものの短編集。題名を見るだけでも、 「世界一ねばった客」、「誰も哀れな男を殺しはしない」など、 メグレものらしい詩情を感じる。シムノンは詩人だ。 事件の謎を解くと言うよりも、常に何か一つ、この不可解な世界の小さな謎を解く。 なぜ子供が嘘をつくのか。なぜ老人は子供に意地悪なのか。 なぜいつも不運な人間がいるのか。 何でもないフランスの街角の風景や庶民の風俗の、控えめな描写もいい。 「翌朝、パリは毎年春に三、四回しかめぐつて来ないような — 春の方で譲歩してくれるときだけなのだが — うららかな日に恵まれた。 冷たいジュースの味をみるときのように、 他のことはなにもしないでのんびりと楽しまなければならないような、 また子供のころの思い出にある、本当の春の日に恵まれた…… (中略)……窓の手摺りにいる猫。歩道にねそべつた犬。 革のエプロンを当てて、入口に立つている靴屋。 走つて行く緑と黄のバス」(「世界一ねばつた客」より)。 何十冊もあるメグレものの翻訳がどうしてほとんど手に入らなくなっているのか、 本当に疑問だ。

夕食は、オムライスに再度挑戦。やっぱり、マッシュルームがなくちゃね。 今日は材料も万端だったのだが、野菜の大きさの都合でつい、 チキンライスを沢山作り過ぎてしまった。 結局、一人でオムライスとチキランイスを食べた。