2010年11月13日土曜日

封筒の裏での計算

9 時過ぎ起床。 珈琲、ヨーグルト、ブルーベリーなどで目を覚まして、 「湖は餓えて煙る」(B.グルーリー著/青木千鶴訳/ハヤカワ・ミステリ 1839) を読んだり、朝風呂に入ったりしているうちに昼。 朝昼兼食に御飯を炊いて、 鯵のひらきを焼き、白菜の漬物、長葱としめじの味噌汁。 午後も読書など。「湖は餓えて煙る」、読了。 盛り込み過ぎのきらいもあったが、 あれこれの伏線が全て最後に収斂するところなど、 なかなか読み応えのある作品だった。 次は「魔術師(上・下)」(J.ディーヴァー著/池田真紀子訳/文春文庫) を読み始める。 夕食は豚肉のすき焼き風鍋。 砂糖を使わずに酒と醤油と大量の葱で仕上げる。 ヱビスビール。あとは饂飩。

趣味と実益を兼ねて、 私が訳した新刊 「世界を変えた手紙」 の Amazon 商品ベストセラーランキングの推移を(自動)追跡している。 服部仮説 を認めれば、これによって私の本が何冊売れたか分かるが、 他にも色んなことが推定できる。 私の本のランキングは、喩えて言えば、 アマゾン・ジャパンでの全ての本の売れ行きの流れに挿したプローブのようなものだ。 例えば、アマゾン・ジャパンでの一年間の書籍売上高を推定してみる。

私の本のランキングは現在のところ、大体数万位から十万位くらいだが、 時々、数千位から二万位程度のランクに急上昇する。 服部仮説を認めればこれは、 私の本が一瞬だけ一位にランキングされたあと、 私の本よりもランクが下の本が、 数千冊から二万冊程度売れて私の本を追い抜いたことを意味する。 実際、私の本が売れてからランク集計されるまでの時間は一時間より短いし、 私の本のランクより上の本が売れても私の本のランクを下げないので、 実際に一時間に売れた冊数はこれよりかなり多い。 細かい計算は抜きにしてざっくり、3万冊と評価してみよう。 時間による売れ行きの大小をならして、 一日にはこの十倍程度、つまり30万冊以上は売れると思われる。 とすると、一年ではこの365倍で一億冊以上が売れるだろう。 本一冊の値段をざっと千円とならしてみると、 年間の売上げは一千億円くらいのはずだ。 この私の見積もりはどれくらい正しいか? アマゾンは日本での売上高を公表していないが、 業界推計ではアマゾンの昨年の日本国内売上は約4千億円とされている。 楽天の昨年の売上は約3千億円なので、この推計は悪くなさそうだ。 また、アマゾンジャパンの売上のうち、 書籍・音楽・映像ソフトなどの売上は六割程度と見なされているそうなので、 書籍のみではその半分で三割くらいか。 とすると、アマゾンジャパンの書籍の売上は4千億円の三割で一千億円程度。 上の見積もりと一致する。

私の上の推定は言わゆる「封筒の裏での計算」だが、 追跡する本の種類を増やし、長時間観測し、 ちょっと真面目に統計的推測を行えば、 かなり正確に売り上げを推定できるはずだ。 誤差1パーセントくらいまでいけるんじゃないかな。