2011年7月2日土曜日

カッコウと数列パズル

「1, 11, 21, 1211, 111221 の次に来る数字は何?」

先月の 26 日に暗号学者のロバート・モリスが亡くなったようだ。
おそらく私の世代は若い頃に、 「カッコウはコンピュータに卵を産む」(C.ストール著/池央耿訳/草思社) を読んで、「ハッカーとかセキュリティとか暗号とかってカッコイイ……」 と思った経験をお持ちの方が多いと思う。 私もそんな勘違いをした若者の一人で、うっかりセキュリティの仕事をしたり、 教科書を書いたりしてしまったものだ。若気の至りで恥ずかしい。

「カッコウ」は、システム管理の仕事にありついた若き天文学者の主人公が、 コンピュータの利用代金が 75 セントだけ合わない、 という謎を調査する内にクラッカーの存在に気付き、 壮大な追跡劇に展開するというドキュメンタリ。 話は横道にそれるが、ストールはこの本でハッカーの英雄になったあと、 むしろコンピュータやインタネットを批判するようになった。 おかげでハッカー業界での評判はあまり良くないようだが、 私自身は、彼は特に偉大な業績がなくとも天才だと思うし、尊敬もしている。 この手のマッドサイエンティスト風の白髪頭になりたいくらい。 技術批判も相当の範囲、当たっていると思う。 興味のある方は、この名講演 「クリフォード・ストールがいろんなことを話します」の日本語訳をどうぞ。 是非、動画も観ていただきたい(日本語字幕もつけられる)。 私が思うに、このベトナム戦争時の条りに感動しない人は、科学には向いてない。

閑話休題して、ようやく本題。 その「カッコウ」の中に、 国家安全保障局のコンピュータの「大教祖」としてロバート・モリスが登場する。 そして、著者にパズルを出す。 「1, 11, 21, 1211, 111221 の次に来る数字は何?」。 その答は「カッコウ」の中に書かれていなかったので、当時かなり話題になった。 このパズルはモリスの発案ではなくて、 実際はイギリスの鬼才、数学者 J.H.コンウェイがオリジナルらしいのだが、 「カッコウ」のおかげで「モリスの数列」と呼ばれたりもする。 ヒントは明日。答は明後日。

夜は、東京に出張中の A 先生と秘書の Y さんのお二人と、 代官山のイタリアンレストランでお食事。 ランチの予定だったのだが、先方のご都合で急遽変更された。 私は昼食をとらない習慣なので、変更されてむしろ都合が良かった。