2008年12月22日月曜日

Tao 3-1

今日の "The Tao of Programming"(G.James/InfoBooks)。原による試訳。

あるとき、一人の男がコンピュータのトレードショーにやって来た。 彼は毎日、会場に入る度に、入口の警備員にこう話した。

「私は大怪盗、特に万引の芸当で有名なのだ。 予告しておくが、このショーも略奪されずにはすまないだろうな」。

この宣言で警備員は大いに不安になった。 会場には何百万ドルものコンピュータ機器があったからである。 警備員はこの男を注意深く観察することにした。 しかし、その男は静かにハミングしながら、 ブースからブースへとぶらぶらするだけだった。

男が去るとき、警備員は彼を脇に呼び、服をチェックしたが、何も見つからなかった。

翌日のトレードショーに男はまたやって来て、警備員をたしなめてこう言った。 「昨日は大量の獲物をまんまと盗んでやったぞ。だが、今日はもっとだろう」。 これを聞いて、警備員はさらに綿密に観察し続けたが、何の甲斐もなかった。

トレードショーの最終日、警備員はもう好奇心を抑え切れなくなった。 「怪盗様、私は大変に悩んでいて、心穏かではいられません。 私の目をどうぞ啓いて下さい。あなたは何を盗んでいるのですか?」

男は微笑んだ。「私はアイデアを盗むのだよ」。

「プログラミングのタオ」 第3の書「デザイン」、3-1章